欧州の財政危機と金融引き締め

短期的には、中東情勢の混乱、わが国の震災による先行き不透明感から、ドル円相場にはダウンサイド・リスクが残る。ただし、円売り介入に対する警戒感も強く、欧州では利上げ観測と財政懸念が交錯するため、主要3通貨に明確なトレントを求めるべきではない。あえて言えば、中国の引き締め政策を受けた中国元買いが望ましい。しかし、わが国経済が震災被害からの復興期に入り、中国経済の減速が明確になり、加えて、米国の量的緩和の解除が現実味を帯びてくれば、円の独歩安トレントが明確となる可能性が高い。ドル円相場は、2011年年末に向けて90円台へ向かっていくとみている。

欧州の財政危機と金融引き締め

ユーロ相場は、金融引き締めと財政不安の狭間で、一進一退を繰り返す公算が高い。

政策目標を上回るインフレ率

EU統計局が3月1日に発表したユーロ圏17力国の2月の消費者物価(CPI)上昇率(速報値)は前年比2.4%となり、エネルギー価格の上昇から3ヵ月連続で欧州中央銀行(ECB)の政策目標である「2%未満」を上回った。また、欧州委員会は、同日発表した2011年経済予測のなかで、ユーロ圏のCPI上昇率予測を、原油価格と食料価格の上昇を背景に、2.2%と大きく上方修正している。

 

ECBが3月3日に公表した経済予測でも、2011年の物価上昇率が2.3%と政策目標の「2%未満」を上回り、トリシエ総裁は同日の記者会見で「物価の上昇リスクがある」と明言した。物価動向次第では「4月にも利上げの可能性がある」と述べている。世界的な過剰流動性と中東の政情不安が招いた資源価格の上昇によって、ユーロ圏ではインフレ懸念が強まっている。

 

価格変動の大きい食品・エネルギーを除いた「コア・インフレ」という範躊で物価の判断をすべきだという意見はECB理事会では少数派である。 ECBは、今後数カ月間に開催される理事会(5月5日、6月9日、7月7日)において、現在1%に据え置いている政策金利を引き上げる可能性が高まっており、ユーロ相場も当面は上昇圧力を受ける公算が高い。